追徴課税とは何か? 基本的な仕組み

追徴課税という言葉は、ニュースなどで頻繁に耳にしますが、実は「追徴課税」という名称の単独の税金が存在するわけではありません。税務実務においては、申告漏れなどによって「追加で納めることになった本税」と「ペナルティとして課される附帯税」の合計を指して、一般的に追徴課税と呼んでいます。

ここではまず、その内訳と発生する原因について解説します。

目次

  1. 本来の税金 + 罰金(附帯税)の総称
  2. 追徴課税の種類と税率
  3. 忘れてはいけない「延滞税」の怖さ
  4. 【シミュレーション】追徴課税はいくらになる?
  5. 追徴課税が発生したら?
  6. 税務調査が来る前にリスクを最小限にする方法
  7. まとめ

本来の税金 + 罰金(附帯税)の総称

追徴課税の金額は、大きく分けて以下の3つの要素で構成されています。

・本来納めるべき税金
計算ミスや申告漏れによって、支払っていなかった不足分の税金そのものです。これは罰金ではなく、本来支払う義務があったお金です。

・加算税
申告義務を適正に果たさなかったことに対する罰金です。ミスの内容や悪質性に応じて、「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」のいずれかが課されます。

・延滞税
納期限(法定納期限)より遅れて納税することに対する「利息」に相当する税金です。

つまり、追徴課税として請求される金額は、「足りなかった税金」に「罰金」と「利息」が上乗せされた総額となります。

なぜ発生するのか? 主な3つのケース

追徴課税が発生するシチュエーションは、主に以下の3つに分類されます。

・計算誤りや記載ミス(過少申告)
期限内に確定申告は行ったものの、売上の計上漏れや、認められない経費の計上などがあり、本来よりも税額を少なく申告していたケースです。

・申告忘れ(無申告)
そもそも確定申告の期限までに申告を行わなかったケースです。「収入が少額だからバレないだろう」といった自己判断や、単なる失念が原因となります。

・源泉所得税の納付漏れ(不納付)
従業員や外注先へ給与・報酬を支払う際、天引き(源泉徴収)した所得税を、期日までに国に納めなかったケースです。

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追徴課税の種類と税率

追徴課税の金額を大きく左右するのが「加算税」の種類です。税務署は、申告漏れが悪質かそうでないか、あるいは自主的に修正したかどうかによって、適用する税率を細かく定めています。

以下は、主な加算税の種類と税率の一覧です。ご自身の状況がどこに当てはまるか確認してください。

加算税の種類 内容 税率(原則) 自主的に申告した場合
過少申告加算税 期限内に申告したが、金額が少なかった 10% または 15% 0%(かからない)
無申告加算税 期限までに申告しなかった 15% または 20% 5%
不納付加算税 源泉所得税を期日までに納めなかった 10% 5%(※条件あり)
重加算税 事実の隠蔽や仮装があった(悪質) 35% または 40% 軽減なし
※税率は、増差税額(追加で納める本税の額)に対してかかります。
※50万円を超える部分については、さらに高い税率が適用される場合があります。

過少申告加算税(10%〜)

期限内申告書を提出していたものの、税額が不足していた場合に課されます。

原則として、追加で納める税金の10%相当額が加算されます(追加税額が当初の申告額または50万円のいずれか多い額を超えている場合、超えている部分には15%が適用されます)。

重要なポイントは、税務調査の通知が来る前に、自分で気づいて修正申告を行えば、この過少申告加算税はかからないということです。

無申告加算税(15%〜)

正当な理由なく、申告期限内に申告しなかった場合に課されます。

原則として、納付すべき税額の15%(50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%)が加算されます。

こちらも、税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告を行えば、税率は5%に軽減されます。調査の連絡が来てからでは軽減措置を受けられないため、スピードが重要です。

不納付加算税(10%)

給与や報酬から預かった源泉所得税を、納期限までに納めなかった場合に課されます。

原則として未納額の10%です。ただし、税務署からの指摘前(自主納付)であれば5%に軽減されます。

なお、遅れた期間が1ヶ月以内で、かつ過去1年間に納付の遅れがないなどの要件を満たす場合は、例外的に不納付加算税が免除されることもあります。

重加算税(35%〜40%)

最も重いペナルティがこの「重加算税」です。

単なる計算ミスやうっかり忘れではなく、二重帳簿の作成、売上の隠蔽、架空経費の計上など、「事実を隠蔽または仮装」したと認定された場合に適用されます。

  • 過少申告加算税に代わる場合:35%
  • 無申告加算税に代わる場合:40%

重加算税が課されると、税金の負担が激増するだけでなく、数年間は税務調査の対象になりやすくなるなど、社会的信用や経営上のリスクも増大します。

忘れてはいけない「延滞税」の怖さ

加算税ばかりに目が行きがちですが、忘れてはならないのが「延滞税」です。これは納付が遅れた日数分だけ、日割り計算で加算され続けます。

利息としての性格を持つ延滞税

延滞税は、金融機関の利息と同じ性質を持ちます。「法定納期限(本来納めるべき日)」の翌日から、実際に納付した日までの日数に応じて計算されます。

つまり、修正申告や期限後申告を先延ばしにすればするほど、延滞税の額は膨れ上がっていくことになります。

延滞税がかかる期間と計算の仕組み

延滞税の税率は、その年の経済情勢(銀行の貸出約定平均金利など)によって毎年変動します。また、納期限から「2ヶ月以内」か「それ以降」かで税率が大きく変わります。

  • 納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで
    原則:年7.3%(※特例により、近年は年2.4%前後で推移)

  • 2ヶ月を経過した日以後
    原則:年14.6%(※特例により、近年は年8.7%前後で推移)

「2ヶ月」を超えると税率が約3倍以上に跳ね上がるため、追徴課税の通知を受けたら、可能な限り速やかに納付することが負担を減らす鍵となります。

【シミュレーション】追徴課税はいくらになる?

では、実際に追徴課税がいくらになるのか、簡単なケースでシミュレーションしてみましょう。

【モデルケース】

  • 個人の自営業者
  • 売上の計上漏れが発覚し、税務調査を受けた
  • 追加で納める本来の税金(本税):100万円
  • 悪質な隠蔽はなく「過少申告加算税」の対象
  • 本来の納期限から1年後に納付(延滞税は概算で計算)

1. 本来の税金(本税)
まず、不足していた税金を支払います。
金額:1,000,000円

2. 過少申告加算税
税務調査での指摘後のため、原則の10%が適用されます。
1,000,000円 × 10% = 100,000円
(※50万円を超える部分の加重措置は考慮しない簡易計算とします)

3. 延滞税
年利約2.4%(2ヶ月)と約8.7%(10ヶ月)で簡易計算します。
最初の2ヶ月分:約4,000円
残りの10ヶ月分:約72,500円
合計:約76,500円

★ 支払総額
1,000,000円 + 100,000円 + 76,500円 = 1,176,500円
このケースでは、本来の税金に加えて、約17万6千円(約17.6%増)を余分に支払うことになります。これが「重加算税(35%)」のケースだった場合、ペナルティだけで35万円となり、総額はさらに跳ね上がります。

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追徴課税が発生したら?

実際に税務調査などで追徴課税が発生した場合、どのような手続きを経て納税するのでしょうか。

税務調査・指摘から納付書が届くまで

  • 税務調査・指摘
    税務署員から誤りの内容について説明を受けます。内容に納得した場合は「修正申告書」を作成し、提出します。

  • 納付書の入手
    修正申告書の提出と同時に、不足していた本税を納付するための納付書を受け取ります(または自分で作成します)。

  • 本税の納付
    まずは修正申告を行った日に、本税を金融機関や税務署の窓口、e-Taxなどで納付します。

  • 加算税・延滞税の通知
    後日(数ヶ月後)、税務署から加算税と延滞税の金額が記載された「賦課決定通知書」と納付書が送られてきます。

  • 残りの納付
    届いた納付書を使って、指定された期限内に加算税と延滞税を納付します。

一括払いが原則。払えない場合の対処法

国税の納付は、原則として「現金一括払い」です。「お金がないから」といって放置すると、財産の差し押さえなどの滞納処分を受ける可能性があります。

どうしても一括で支払えない場合は、すぐに税務署の徴収部門へ相談してください。

災害や病気、事業の著しい損失などの一定の要件を満たす場合、「換価の猶予」や「納税の猶予」といった制度が認められ、分割払いが可能になることがあります。重要なのは、督促状が来る前に、誠意を持って相談に行くことです。

税務調査が来る前にリスクを最小限にする方法

追徴課税のリスクと金額を最小限に抑えるためには、何よりも「税務調査が来る前の行動」が重要です。

間違いに気づいたら「自主的に」修正申告を

前述の通り、税務署から指摘を受ける前に自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税はゼロに、無申告加算税は5%に軽減されます。

「もしかして間違っていたかも」と不安な点がある場合は、税務署からの連絡を待つのではなく、自ら動いて修正することが、最大のペナルティ回避になります。

日頃の経理処理と専門家への相談

追徴課税の多くは、悪意のない単純な計算ミスや、税法解釈の誤りから生じます。

  • 領収書や請求書を適切に保存する
  • 不明な支出は自己判断せずに調べる
  • 怪しい節税情報には手を出さない

そして、不安がある場合は早めに税理士へ相談することをおすすめします。税理士は適正な申告をサポートするだけでなく、万が一税務調査が入った際にも、納税者の代理として税務署と交渉し、不当な課税がされないよう守ってくれます。

まとめ

追徴課税は、本来納めるべき税金に加え、加算税や延滞税といったペナルティが課される重い負担です。しかし、その仕組みを理解していれば、過度な恐怖を感じる必要はありません。

もし現在、過去の申告について心当たりがある場合は、1日でも早く税理士に相談するか、自主的な修正申告を検討してください。「まだバレていないから大丈夫」と放置する時間が、結果として最も高い授業料を払う原因となります。

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