「投資を始めるなら、まずはインデックスファンドが良いらしい」
SNSやマネー雑誌でこのような情報を目にして、興味を持っている方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ証券口座を開いてみると、そこには何千種類もの商品が並んでおり、「どれを選べば正解なのかわからない」と途方に暮れてしまうことは珍しくありません。
実は、投資信託は大きく分けて2つの種類しかありません。それが「インデックスファンド」と「アクティブファンド」です。
この記事では、この2つの違いをわかりやすく解説しながら、なぜ多くの専門家が初心者にインデックスファンドを推奨するのか、その理由を紐解いていきます。
目次
インデックスファンドとは?
まずは、「インデックスファンド」について解説します。仕組みは非常にシンプルで、投資初心者にとって最も親しみやすい商品設計になっています。
市場の動きと連動する
インデックスファンドとは、特定の「指数(インデックス)」と同じ値動きを目指して運用される投資信託のことです。
ここで言う「指数」とは、ニュースでよく耳にする「日経平均株価」や、アメリカの「S&P500指数」などのことです。これらは、その国や市場全体の景気の良し悪しを測る「平均点」のようなものです。
たとえば、日経平均株価に連動するインデックスファンドを買うということは、日本を代表する225社の株式を、まるごと少しずつパッケージで買うのとほぼ同じ意味を持ちます。
個別の企業を一つひとつ選ぶのではなく、バランスよく詰め合わせられた「お弁当」を買うイメージを持つとわかりやすいでしょう。市場全体が成長すれば、あなたの資産も同じように増えていく、非常に明快なスタイルです。
インデックスファンドが選ばれる3つのメリット
多くの投資家がインデックスファンドを資産形成のコアに選ぶのには、主に3つの明確な理由があります。
1. とにかくコスト(信託報酬)が安い
投資信託を持っている間、私たちは信託報酬という管理手数料を毎日払い続けます。インデックスファンドは、指数に連動させるよう機械的に運用される部分が多いため、人件費や調査費があまりかかりません。その分、手数料が格安に設定されており、長期で保有してもコストが利益を圧迫しにくいのが最大の特徴です。
2. 値動きがわかりやすい
保有しているファンドが今日上がったのか下がったのかを知りたいとき、わざわざ証券会社のサイトにログインしなくても、夜のニュースで「今日の日経平均」や「NYダウ」を見ればおおよその見当がつきます。市場の体温と自分の資産がリンクしているため、管理の手間や精神的な負担が少ないのは大きなメリットです。
3. これ1本で「分散投資」が完成する
投資の大原則は「卵を一つのカゴに盛るな」ですが、個人で何百社もの株を買うには莫大な資金が必要です。しかしインデックスファンドなら、1本買うだけで自動的に市場全体へ分散投資した状態になります。もし構成銘柄の1社が倒産しても、全体への影響は軽微で済むため、大失敗のリスクを抑えることができます。
アクティブファンドとは?
インデックスファンドが「市場の平均点」を目指すのに対し、もう一つの選択肢である「アクティブファンド」は、より野心的な目標を持っています。
プロが銘柄を厳選! 市場平均「以上」を狙う
アクティブファンドは、運用のプロ(ファンドマネージャー)が独自の調査や分析を行い、「これから株価が上がる企業」を選別して投資する商品です。
目指すのは、インデックスを上回るリターンです。たとえば、日経平均が5%しか上がっていないときでも、成長企業をうまく発掘して10%、20%の利益を狙いに行きます。
もちろん、やみくもに選んでいるわけではありません。企業経営者へのインタビューや財務分析、業界の将来性などを徹底的にリサーチし、プロの目利きでポートフォリオを構築します。まさに「攻めの投資」といえるでしょう。
アクティブファンドならではの3つのメリット
インデックスファンドが主流になりつつある現在でも、アクティブファンドには根強い人気があります。そこには、数字だけではない投資の魅力が詰まっているからです。
1. 大きなリターンを狙える
ファンドマネージャーの読みが当たれば、インデックス投資では達成できないような大きな利益を手にできる可能性があります。「平均点では満足できない」「リスクをとってでも資産を大きく増やしたい」と考える人にとって、この爆発力は大きな魅力です。
2. 下落相場に強い場合がある
インデックスファンドは市場と連動するため、不景気で市場全体が暴落すれば、同じように資産が減ります。しかしアクティブファンドの中には、相場が悪化した際に株式を売って現金の比率を高めたり、下落に強い銘柄へ入れ替えたりして、ダメージを最小限に食い止める「防御策」をとれるものがあります。
3. 意志のある投資ができる
「AI技術の発展を応援したい」「環境問題に取り組む企業に資金を投じたい」といった、投資家の想いを反映させやすいのも特徴です。単にお金を増やすだけでなく、自分の資金が社会のどのような分野で役立っているかを感じられる点は、アクティブファンドならではの面白さといえます。
インデックス vs アクティブ、あなたに向いているのは?
ここまで2つのファンドの特徴を見てきました。ここでは、いくつかの視点から比較を行い、あなたに適したスタイルを診断します。
信託報酬の違い
両者の最もわかりやすい違いは「コスト」です。
・インデックスファンド:運用プロセスがシステム化されており、人件費が少ない「セルフサービス」のような仕組みです。そのため、信託報酬は年率0.1%〜0.5%程度と非常に低く抑えられています。
・アクティブファンド:プロが汗をかいて企業を調査・分析するため、その「手間賃」がかかります。信託報酬は年率1.0%〜2.0%程度、高いものでは3%近くになることもあります。
「たかが1%の差」と思うかもしれませんが、複利効果が働く長期投資において、このコスト差は10年後、20年後に数十万〜数百万円の違いとなって現れます。
リターンとリスクの考え方
次に、「どの程度のリスクをとって、どれだけのリターンを望むか」というスタンスの違いです。
・インデックスファンド:無難に平均点をとるスタイルです。市場全体が成長すれば確実に恩恵を受けられますが、市場以上に儲かることはありません。
・アクティブファンド:満点(市場以上)を目指すスタイルです。うまくいけば資産が急増しますが、プロの読みが外れれば、高い手数料を払ったのに市場平均より成績が悪い、という結果になるリスクも背負っています。
タイプ別診断
これらを踏まえて、ご自身の性格や目的に近いほうを選んでみましょう。
【インデックスファンドが向いている人】
- 投資にあまり時間をかけず、ほったらかしにしたい人
- できるだけコストを安く抑えたい人
- 平均的なリターンで十分満足できる人
- 老後資金など、将来のためにコツコツ積み立てたい人
【アクティブファンドが向いている人】
- 独自のテーマ(AI、宇宙、エコなど)に投資したい人
- 市場平均のリターンでは物足りない人
- ファンドマネージャーの運用哲学や方針に共感したい人
- 多少コストがかかっても、プロの手腕に賭けてみたい人
初心者の最初の1本にインデックスが推奨される理由
投資の教科書やファイナンシャルプランナーのアドバイスを見ると、ほとんどの場合「初心者はまずインデックスファンドから始めましょう」と書かれています。
なぜ、これほどまでにインデックスが推奨されるのでしょうか。それは単に「簡単だから」という理由だけではありません。過去のデータに基づいた合理的な根拠があるのです。
長期で見ると「平均点」を取り続けるのは難しいから
アクティブファンドはプロが運用しているため、素人が考えるよりも良い成績が出そうな気がします。しかし、歴史的なデータを見ると、実はインデックスに勝ち続けられるアクティブファンドは非常に少ないという厳しい現実があります。
特に運用期間が10年、15年と長期になればなるほど、インデックスファンドのリターンを下回るアクティブファンドの割合が増えていきます。一時的に素晴らしい成績を出すファンドはありますが、その好調を10年維持するのはプロでも至難の業です。
初心者にとって、数あるアクティブファンドの中から、将来にわたって勝ち続ける「本物」を見極めるのは、砂浜から砂金を探すような難易度なのです。
失敗の大敵「コスト」を確実に抑えられるから
投資の世界において、将来のリターンは誰にも約束できません。しかし、手数料だけは確実に発生するマイナスです。
特に資産形成の初期段階では、運用益がまだ小さいため、高い信託報酬は資産の成長を大きく阻害します。 リターンがどうなるかわからない以上、確実にコントロールできる「コスト」を最小限にするというのが、失敗しない投資の鉄則です。
まずは低コストなインデックスファンドを選び、相場が良いときも悪いときも市場に居続けることこそが、資産形成の成功確率を最も高める方法だといえます。
慣れてきたら「コア・サテライト戦略」もおすすめ
「インデックスファンドが正解なのはわかったけれど、ちょっと退屈かも……」 そう感じるようになったら、次のステップとして「コア・サテライト戦略」を取り入れてみるのも一つの手です。
資産の8割はインデックス、2割はアクティブで楽しむ
この戦略は、資産を「コア(中核)」と「サテライト(衛星)」の2つに分けて管理する考え方です。
・コア(守りの資産):全体の80%
全世界株式やS&P500などのインデックスファンドで運用。ここで手堅く将来の資産形成を行います。
・サテライト(攻めの資産):全体の20%
自分が応援したいテーマのアクティブファンドや、個別の株式などで運用。ここではリスクをとって、より高いリターンや投資の楽しみを追求します。
この比率であれば、仮にサテライト部分で失敗しても、資産全体へのダメージは限定的です。「老後資金はインデックスで確実に守りつつ、一部の資金で夢を追う」というバランスの良い投資スタイルが可能になります。
まとめ
投資信託には「インデックス」と「アクティブ」の2種類がありますが、これから投資を始める方が最初に選ぶべきは、やはりインデックスファンドです。低コストで市場全体に分散投資ができ、プロが運用するアクティブファンドと比べても、長期的に見れば負けない成績を残しやすいことが証明されているからです。
まずは、全世界株式や米国株式などの代表的なインデックスファンドを1本選び、少額から積み立てを始めてみてください。 そして、投資に慣れて資産が増えてきたら、自分の興味に合わせてアクティブファンドをトッピングしてみるのも、投資生活を長く楽しむための秘訣です。
