投資の「リターン」とは? 意味やリスクとの関係をわかりやすく解説

ニュースや金融機関のサイトで頻繁に目にする「リターン」という言葉。なんとなく「儲け」のことだと理解している方は多いですが、実は投資の世界ではもう少し深い意味や使い分けが存在します。

この言葉の正確な意味と仕組みを理解することは、自分に合った投資スタイルを見つけ、思わぬ失敗を防ぐための第一歩です。

この記事では、投資における「リターン」の正しい定義から、絶対に知っておくべき2つの種類、よく混同される「利回り」との違い、そして切っても切り離せない「リスク」との関係性について、初心者の方にも分かりやすく解説します。

この記事のポイント
  • リターンとは: 投資から得られる収益・見返り全体のこと(プラスもマイナスもある)。
  • 2つの種類: 保有して得る「インカムゲイン」と、売却して得る「キャピタルゲイン」がある。
  • 利回りとの違い: 比較するなら「1年あたりの収益率」である利回りを見るのが正解。
  • リスクとの関係: リターンを求めれば、必ず「振れ幅(リスク)」も大きくなる。
  • 初心者の目安: まずは年利3%〜5%程度の現実的な目標を立てる。

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投資における「リターン」とは? まず意味を理解しよう

まずは、投資の基礎用語である「リターン」の定義を明確にしていきましょう。言葉のイメージだけで捉えていると、思わぬ勘違いをしてしまうことがあります。

リターンの基本的な意味:投資によって得られる収益

リターンとは、直訳すると「戻る」「返還」という意味ですが、投資の世界では「投資を行うことで得られる収益や見返り」のことを指します。

企業や不動産などに資金を投じ、その結果として手元に戻ってくる成果全般がリターンです。例えば、株式投資であれば「配当金」や「値上がり益」、不動産投資であれば「家賃収入」などがこれに該当します。

投資家は、このリターンを得ることを目的として、自分の大切な資産をリスク(不確実性)のある場所に投じるわけです。

利益そのものや収益率を指す

会話や文脈によって、「リターン」が指す数値の性質が変わることがあるため注意が必要です。具体的には以下の2つのパターンがあります。

  • 金額(絶対額)を指す場合
    「今回の投資で10万円のリターンがあった」というように、具体的な利益額を指すケースです。

  • 収益率(割合)を指す場合
    「この投資信託の年間リターンは5%だ」というように、投資元本に対してどれくらいの割合が増えたか(減ったか)を指すケースです。

投資の世界では「プラスのリターン」も「マイナスのリターン」もある

ここが非常に重要なポイントですが、リターン=「儲け(プラス)」とは限りません。

投資の結果、資産が減ってしまった場合も、それは投資の結果として返ってきたものなのでリターンと呼びます。

  • プラスのリターン: 利益が出た状態
  • マイナスのリターン: 損失が出た状態(元本割れ)

「ハイリターン」という言葉を聞くと「すごく儲かる」という良いイメージだけを持ちがちですが、厳密には「大きくプラスになる可能性もあれば、大きくマイナスになる可能性もある」という意味を含んでいることを理解しておきましょう。

必ず知っておきたいリターンの主な2つの種類

投資のリターンには、収益が発生する仕組みによって大きく分けて2つの種類があります。「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」です。これらを組み合わせることで、安定した資産形成が可能になります。

インカムゲイン(資産を保有し続けることで得る収益)

インカムゲインとは、資産を手放さずに「持っているだけ」で継続的に入ってくる収益のことです。

【主なインカムゲインの例】
株式投資:配当金(企業が利益の一部を株主に還元するお金)
債券投資:利息(お金を貸した対価として受け取るお金)
不動産投資:家賃収入
銀行預金:受取利息

インカムゲインの最大の特徴は、安定的・継続的であることです。一度に大きな利益を得ることは難しいですが、保有し続ける限りコツコツと利益が積み上がります。長期的な資産形成においては、このインカムゲインの再投資が複利効果を生み、雪だるま式に資産を増やす鍵となります。

キャピタルゲイン(資産を売却することで得る収益)

キャピタルゲインとは、保有している資産を購入価格よりも高い価格で「売却」した時に得られる収益(売買差益)のことです。

【キャピタルゲインの例】
株式投資:株価が安い時に買い、値上がりしたタイミングで売る
不動産投資:地価や物件価格が上昇したタイミングで売る
暗号資産(仮想通貨):価格高騰時に売る

キャピタルゲインの特徴は、短期間でも「大きな利益を狙える」点にあります。例えば、株価が2倍、10倍になれば、資産を一気に増やすことができます。

一方で、購入時よりも価格が下がった状態で売却すればキャピタルロス(売却損)となり、資産を減らすリスクも高くなります。

一般的に、投資初心者はまず安定したインカムゲインを確保しつつ、一部でキャピタルゲインを狙うようなバランスの良い運用が推奨されます。

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リターンと利回りの決定的な違いとは?

投資について調べていると、「リターン」と似た言葉で「利回り」という言葉が出てきます。これらは混同されがちですが、明確な違いがあります。ここを理解していないと、金融商品の比較検討が正しくできません。

リターン=投資期間全体での収益

前述の通り、リターンは「投資の結果得られた収益」全体を指します。ここには時間の概念が曖昧な場合があります。例えば、「この投資信託のリターンは20%です」と言われたとします。

もしこれが1年間での実績なら素晴らしい成績ですが、10年間かけての合計実績だとしたら、1年あたりの成績はそれほど高くありません。

このように、単に「リターン」と言った場合は、投資期間全体の収益を指すことが多いのです。

「利回り」=「1年間あたり」の収益率(%)

一方、利回りとは、投資元本に対して1年間でどれだけの利益が得られたかを表す年利です。利回りは常に「1年単位」に換算して考えるため、期間の異なる投資商品同士を比較する際の「共通言語」となります。

なぜ投資先を比較する際は利回りで考えるべきなのか?

投資商品を選ぶ際、「A商品は5年で10%のリターン」「B商品は3年で7%のリターン」と表記されていたら、どちらが優秀かぱっと判断するのは難しいでしょう。

これを利回りに直すと、以下のようになります。

  • A商品:10% ÷ 5年 = 年利2.0%
  • B商品:7% ÷ 3年 = 年利2.3%

※ここでは分かりやすくするために、単純に年数で割る「単利」で計算

B商品の方が効率が良いことが分かります。このように、投資期間が異なる商品を比較検討する際は、必ず「利回り(年換算)」で比較する癖をつけましょう。

リターンとリスクの切っても切れない関係性

投資において「どのくらいのリターンが得られるか」と同じくらい重要なのが、リスクの存在です。実は、投資におけるリスクの意味は、一般的な「危険」という意味とは少し異なります。

投資におけるリスク=リターンの振れ幅のこと

日常会話でリスクというと、「損をする」「危険な目に遭う」というネガティブな意味だけで使われます。

しかし、投資の世界でのリスクとは、リターンの振れ幅の大きさを指します。

  • リスクが大きい:大きく儲かる可能性もあるが、大きく損をする可能性もある(振れ幅が大きい)
  • リスクが小さい:大きく儲かることはないが、大きく損をすることもない(振れ幅が小さい)

つまり、結果が予測しにくいものほど「リスクが高い」と表現されます。

ハイリスク・ハイリターンの仕組み

よく聞くハイリスク・ハイリターンとは、大きなリターンを得ようと思えば、その分、大きな損失を出すリスクも受け入れなければならないという金融の原則です。

例えば、新興国の株式や暗号資産などは、短期間で価格が2倍、3倍になる可能性がありますが、逆に価値がゼロ近くになる可能性もあります。これは「振れ幅」が極端に大きいため、ハイリスク・ハイリターン商品に分類されます。

ローリスク・ローリターンの仕組み

逆に、預金や国債などは、元本が保証されていたり、国が破綻しない限り利息が支払われたりと、将来の結果がある程度予測できます。振れ幅が小さいので、その分得られるリターンも低く設定されます。これが「ローリスク・ローリターン」です。

リターンとリスクを正しく理解し、賢い資産運用を始めよう

投資における「リターン」について、意味や種類、リスクとの関係を解説してきました。

リターンという言葉一つとっても、その中身を正しく理解しているかどうかで、投資への向き合い方は大きく変わります。

言葉の意味がわかった今、次は「自分はどのくらいのリスクなら許容できて、どのくらいのリターンを目指したいのか」を具体的にイメージしてみてください。

証券会社のサイトでは、簡単な質問に答えるだけで最適な資産配分を提案してくれるシミュレーションツールなども用意されています。まずはそういったツールを使って、自分だけのリターン目標を立ててみてはいかがでしょうか。

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