オルカンはなぜ投資の王道と呼ばれるのか? 正式名称や中身、メリット・デメリットを解説

投資の話題において「とりあえず『オルカン』買っておけ」という言葉を耳にしたことはありませんか?

「みんなが良いって言うから気にはなるけど、そもそも『オルカン』って何?」

結論から言うと、オルカンとは投資信託の一つである「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称です。これ一本購入するだけで、日本を含む世界中の先進国・新興国の株式に分散投資ができるため、投資初心者から上級者まで多くの支持を集めている「投資の王道」とも呼べる商品です。

この記事では、なぜこれほどまでに「オルカン一択」と推されるのかという理由と、購入前に必ず知っておくべきリスクについて解説します。

目次

  1. オルカンとは? 正式名称と中身を解説
  2. なぜオルカンが王道と呼ばれるのか?
  3. 買ってから後悔しないために
  4. まとめ

オルカンとは? 正式名称と中身を解説

まずは、「オルカン」という言葉の正体について解き明かしていきましょう。これが特定の「株の銘柄」なのか、「システムの名称」なのか分からないという方も多いはずです。

正式名称は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」

「オルカン」とは、三菱UFJアセットマネジメントという運用会社が提供している投資信託、「eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)全世界株式(オール・カントリー)」の略称です。

あまりにも人気が出たため、現在では運用会社公式のレポートや広告でも「オルカン」という略称が使われるほど定着しました。

この商品は、新NISAの「つみたて投資枠」でも「成長投資枠」でも購入が可能で、投資信託の人気ランキングでは常に1位、2位を争う超定番商品です。

全世界ってどこ? 投資先の内訳をイメージしよう

「全世界株式」という名前ですが、具体的にどこの国に投資しているのでしょうか。世界中の国に均等に投資していると誤解されがちですが、実はそうではありません。

オルカンは、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」という、世界の株式市場の動きを示す代表的な指数と同じ動きを目指して運用されています。 その中身を分解すると、以下のようなイメージになります(※比率は市場の状況により変動します)。

  • 約60%:アメリカ
  • 約35%:その他の先進国(日本、イギリス、カナダ、フランスなど)
  • 約10%弱:新興国(中国、インド、台湾など)

これらを合計すると、世界約47の国・地域、約3,000社近い大型・中型企業になります。 AppleやMicrosoft、Amazonといった世界的な巨大IT企業はもちろん、トヨタ自動車などの日本企業も含まれています。

つまり、オルカンを1万円分購入するということは、「その1万円を細かく分割して、世界中の優良企業約3,000社の株主になる」ことと同じ意味を持ちます。

なぜオルカンが王道と呼ばれるのか?

投資の商品は世の中に6,000本以上あると言われていますが、なぜ「オルカンがいい」と言われるのでしょうか。 その理由は、投資において最も重要で、かつ難しいことが、この一本で簡単に実現できるからです。主なメリットを3つ解説します。

1. 究極の「分散投資」がこれ1本で完結する

投資の世界には「卵を一つのカゴに盛るな」という有名な格言があります。 すべての資産を特定の国や企業に入れてしまうと、不景気や倒産した際に資産を失ってしまいます。しかし、複数に分けておけば、一つがダメになっても他でカバーできます。これが「分散投資」の考え方です。

もしあなたが自分で分散投資をしようとしたらどうなるでしょうか。「アメリカ株を買って、ヨーロッパ株も買って、新興国の株も買って…」と、個別に管理するのは非常に手間がかかりますし、多額の資金が必要です。

しかし、オルカンであれば、たった一本買うだけで世界中に分散投資が完了します。「アメリカの景気が悪くなっても、他の国がカバーしてくれるかもしれない」「ある企業が倒産しても、3,000社のうちの1社なら影響は軽微」といったリスク分散効果が、これ一本で自動的に得られるのです。この手軽さが最大の魅力です。

2. 業界最低水準の「信託報酬(手数料)」

投資信託を持つうえで絶対に無視できないのがコストです。特に「信託報酬(管理費用)」と呼ばれる手数料は、持っている間ずっと毎日引かれ続けるため、長期間の運用では大きな差になります。

オルカンの信託報酬は、年率0.05775%(税込)という、業界でも驚異的な低水準に設定されています。

仮に100万円を投資していた場合、手数料が1.5%なら年間1万5,000円取られますが、オルカンなら約580円で済みます。長期投資において、リターンは不確実ですが、コストは確実です。「確実なマイナス」であるコストを極限まで抑えられる点は、投資家にとって最大のメリットの一つと言えます。

3. 企業の成長に合わせて中身が自動で入れ替わる

「今はアメリカが約60%って言ってたけど、もし将来アメリカが衰退したらどうするの?」「これからはインドの時代が来るかもしれないから、インド株を買ったほうがいいのでは?」

鋭い方はそう思うかもしれません。しかし、ここにもオルカンの強みがあります。オルカンは時価総額加重平均という仕組みを採用しており、世界の経済状況の変化に合わせて、国や企業の構成比率を自動で調整してくれます。

仮に20年後、インドが急成長してアメリカを抜いたとした場合、オルカンの中身も自動的に「インドの比率が高く、アメリカが低い」状態に入れ替わります。

つまり、私たちは次にどこの国が勝つかを予想する必要がありません。勝手にその時、世界で一番強い企業や国の配分を多くしてくれるため、一度買ったらあとは持ち続けるだけで、常に最新の世界経済の形にフィットし続けることができるのです。これが時代遅れにならない投資と言われる理由です。

迷ったら「オルカン」が無難な理由

投資において最も難しいのは「未来予測」です。「来年はアメリカ株が上がる」「次はAI関連株だ」と予想を当て続けることは、プロの投資家でも不可能です。

オルカンを選ぶということは、「どこの国が勝つかは分からないけれど、世界経済全体としては成長し続けるだろう」という点に賭けることです。

特定の国やテーマに賭けるギャンブル的な要素を排除し、世界全体の平均点を狙いにいく。大勝ちはしないかもしれませんが、大負けもしにくい。この無難さこそが、投資を長く続けるための秘訣であり、初心者に最適解とされる理由です。

買ってから後悔しないために

メリットばかり強調しましたが、投資に「絶対」はありません。「こんなはずじゃなかった」と後悔して手放してしまわないよう、オルカンのリスクもしっかり理解しておきましょう。

元本割れのリスクはある

オルカンは非常に優れた商品ですが、あくまで「株式」への投資です。銀行預金のように元本が保証されているわけではありません。

過去のデータを見ると、リーマンショックやコロナショックのような世界的な大暴落が起きた際には、一時的に資産価値が30%〜50%近く下落することもあります。「100万円投資したら、翌年には50万円になっていた」ということも起こり得ます。

重要なのは、「暴落しても売らずに持ち続けること」です。過去の世界経済は、数々の危機を乗り越えて、長期的には右肩上がりで成長してきました。暴落時に怖くなって売ってしまうと損失が確定してしまいます。

「短期的には減ることもあるが、15年〜20年という長期で見れば増える可能性が高い」という前提を忘れないようにしましょう。

「S&P500(米国株)」よりリターンが低い時期もある

よく比較されるのが、アメリカの代表的な指数である「S&P500」です。近年の成績だけを見れば、全世界に分散しているオルカンよりも、絶好調だったアメリカのみに集中投資する「S&P500」の方がリターンは高かったです。

「結局アメリカが最強なら、アメリカだけでいいじゃないか」という意見もあります。もし今後もアメリカ一強の時代が続くなら、オルカンのリターンはS&P500に見劣りするでしょう。

しかし、もしアメリカが低迷し、他の国が台頭した場合は、オルカンの方が有利になります。特定の国がダメになった時のダメージを軽減しているのがオルカンです。

為替リスクの影響を受ける

オルカンは海外の資産を多く含んでいるため、為替相場の影響をダイレクトに受けます。

・円安(1ドル100円→150円):海外資産の価値が(円換算で)上がるため、オルカンの基準価額も上がりやすい。
・円高(1ドル150円→100円):海外資産の価値が(円換算で)下がるため、株価が変わらなくてもオルカンの価値は下がる。

例えば、株価自体は好調でも、急激に円高が進むと、日本円で見たときの資産額が減ってしまうことがあります。日本で生活し、日本円を使う私たちにとっては、この為替変動もリスクの一つであることを知っておきましょう。

まとめ

この記事では、オルカンについて解説しました。 要点を振り返ってみましょう。

・オルカンとは:これ一本で世界中の株式に分散投資できる投資信託。
・最大のメリット:究極の分散投資が低コストで実現でき、国ごとの比率調整も全自動。
・注意点:暴落時には資産が減ることもあるが、長期保有が前提の商品である。

オルカンを買うということは、特定の企業を応援することではなく、人類の経済活動がこれからも成長・発展し続けるという未来に投資することと言い換えられます。

もしあなたが、将来のために資産形成を始めたいけどNISAで何を買えばいいか迷っているのであれば、オルカンは最初の選択肢として非常に有力です。