利回りとは? 意味と計算方法。利率との違いや投資商品別の目安も紹介

「資産運用を始めたいけれど、何から見ればいいかわからない」
「利回りってよく聞くけど、利率と何が違うの?」

超低金利時代が続き、物価の上昇も進む中、銀行預金だけでは資産が実質的に目減りしてしまう可能性が高まっています。そこで重要になるのが「資産運用」ですが、投資の世界には株、債券、不動産、投資信託など、さまざまな商品が存在します。

これらを選ぶ上で、最も基本的かつ重要なモノサシとなるのが「利回り」です。この記事では、利回りの基本的な意味から、利率や騰落率との違い、さらには投資判断に不可欠な表面利回りと実質利回りの計算方法まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 利回りとは何か、よく似た「利率」や「騰落率」との明確な違い
  • 広告の数字に騙されないために必須の「表面利回り」と「実質利回り」の違い
  • 利回りと複利の関係、長期運用で将来の資産額に大きな差がつく理由

目次

  1. なぜ今「利回り」の理解が重要なのか?
  2. 利回りとは? 投資の基本をわかりやすく解説
  3. 必ず押さえるべき利回りの種類と計算方法
  4. 高利回りの罠に注意! 利回りを見るときのチェックポイント
  5. 長期的な資産形成の鍵「複利」と利回りの関係
  6. まとめ

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なぜ今「利回り」の理解が重要なのか?

今、私たちの資産を取り巻く環境が大きく変化しています。「利回り」に関心を持ち、資産運用について考えていきましょう。

超低金利時代と資産運用の必要性

ご存知の通り、日本は長らく超低金利時代が続いています。大手銀行の普通預金金利は年0.20%〜(2025年現在)といった水準です。

一方で、近年は食品やエネルギー価格の上昇など、インフレが続いています。もし物価が年2%上昇すれば、銀行に預けているお金の「価値」は、実質的に年間約2%ずつ目減りしていくことになります。

このような時代において、ただ貯蓄しているだけでは資産を守ることさえ難しくなってきています。だからこそ、インフレに負けないよう資産を運用し、効率的に増やしていく必要性が高まっているのです。

投資判断のモノサシとなる「利回り」

資産運用といっても、選択肢は無数にあります。「どの投資商品が、どれくらい効率的にお金を増やしてくれるのか?」を客観的に比較・判断するためのモノサシが必要です。その最も基本的なものが利回り。

利回りを理解することで、例えば「Aという投資信託はリスクが高いが、利回りも高い」「Bという不動産は、広告の利回りは高いが、経費を引くと意外と低い」といった分析が可能になります。利回りを知ることは、ギャンブル的な投資ではなく、根拠に基づいた合理的な投資判断を行うための必須スキルと言えるでしょう。

利回りとは? 投資の基本をわかりやすく解説

それでは、利回りの具体的な意味について掘り下げていきましょう。類似用語との違いを明確にすることが、正しい理解への近道です。

利回り = 投資金額に対する「1年間の総合的な収益の割合」

利回り(年利)とは、投資した金額(元本)に対して、1年間でどれくらいの「総合的な収益」が得られたかを示す割合(%)のことです。

ここでいう「総合的な収益」とは、以下の2種類を合計したものです。

インカムゲイン:資産を保有している間に得られる収益。
(例:銀行預金の利息、株式の配当金、投資信託の分配金、不動産の家賃収入など)

キャピタルゲイン:資産を購入時より高く売却することで得られる収益(売却益)。
(例:株や不動産の値上がり益など)

例えば、100万円で株式を購入し、1年後に配当金を2万円もらい、さらにその株を105万円で売却したとします。この場合、インカムゲインが2万円、キャピタルゲインが5万円(105万 - 100万)となり、総合的な収益は7万円です。

この時の利回りは、「収益7万円 ÷ 投資額100万円 × 100 = 7%」となります。

「利率」「騰落率」「配当利回り」との違いは?

よく似た言葉があり、これが初心者を混乱させる原因にもなっています。それぞれの違いを整理しましょう。

用語 主な対象 収益の範囲 特徴
利回り 投資全般 総合的(インカム+キャピタル) 投資の効率性を測る最も広い指標
利率(金利) 預貯金、債券 インカム(利息)のみ 元本に対する「利息」の割合。シンプル
騰落率 株、投資信託 キャピタル(価格変動)のみ 期間中の「値動き」の割合。プラスもマイナスもある
配当利回り 株式 インカム(配当金)のみ 株価に対する「年間配当金」の割合

・利率
主に銀行預金や債券で使われます。元本に対して支払われる「利息」の割合だけを示します。債券を満期前に売却した場合の売却益(キャピタルゲイン)は考慮されません。利回りが「総合収益」であるのに対し、利率は「利息」のみを対象とした、より限定的な指標です。

・騰落率
ある期間において、価格がどれだけ上昇または下落したかを示す割合です。例えば「この投資信託の過去1年の騰落率は+10%」といった使われ方をします。これは主に「値上がり益(キャピタルゲイン)」を示しており、期間中にもらった分配金(インカムゲイン)を含まない場合があります。

・配当利回り
株式投資で使われます。株価に対して、年間の「配当金」がどれくらいの割合かを示します。株の値上がり益(キャピタルゲイン)は含まれません。

このように、他の用語が収益の一部(利息だけ、値動きだけ、配当だけ)に着目しているのに対し、「利回り」はそれらを含めた「総合的な収益力」を示す指標であると覚えておきましょう。

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必ず押さえるべき利回りの種類と計算方法

「利回り」と一口に言っても、投資の世界、特に不動産投資などでは、計算方法によっていくつかの種類に分けられます。投資家として損をしないために、最低でも「表面利回り」と「実質利回り」の違いは必ず押さえてください。

①表面利回り:最も基本的な利回り

表面利回りは、年間の収益を投資総額で割った、最もシンプルな計算方法です。諸経費を一切考慮しないため、グロス(=総計)利回りとも呼ばれます。

計算式: 年間収益 ÷ 投資総額 × 100 = 表面利回り (%)

不動産投資の広告などで「利回り◯%!」と大きく書かれている場合、そのほとんどがこの表面利回りです。計算は簡単ですが、投資の「実力」を正確に示しているとは言えません。

②実質利回り:経費を考慮した、より現実に近い利回り

実質利回りは、年間の収益から、投資にかかる諸経費を差し引いて計算する利回りです。ネット(=正味)利回りとも呼ばれ、こちらの方がより現実に近い、手元に残る収益性を表します。

計算式:(年間収益 - 年間諸経費) ÷ 投資総額 × 100 = 実質利回り(%)

不動産投資の場合、年間諸経費には以下のようなものが含まれます。

管理費、修繕積立金(マンションの場合)
固定資産税、都市計画税
火災保険料、地震保険料
賃貸管理手数料(管理会社に委託する場合)
入退去時の原状回復費用、仲介手数料 など

③想定利回り:購入前に収益性を予測する利回り

想定利回りは、主に新築の不動産や、購入時点で空室が多い物件などで使われます。「仮に満室になった場合、これくらいの家賃収入が見込める」という想定に基づいて計算された利回りです。

計算方法は表面利回りと同じですが、その収益が「実績」ではなく「想定」である点が異なります。当然ながら、将来的に必ず満室になる保証はなく、家賃が想定通りに取れるとも限りません。そのため、想定利回りはあくまで参考値であり、空室リスクや家賃下落リスクを考慮して、シビアに評価する必要があります。

高利回りの罠に注意! 利回りを見るときのチェックポイント

投資商品を探していると、「驚異の利回り20%!」「高利回り保証」といった魅力的なうたい文句に出会うことがあります。しかし、利回りの数字だけを見て飛びつくのは非常に危険です。

「うまい話には裏がある」という言葉通り、高利回りには必ず相応の理由やリスクが隠れています。冷静に投資判断するために、以下の3つのポイントを必ずチェックしましょう。

ポイント①:その利回りは「表面」か「実質」か?

これは最も基本的なチェックポイントです。特に不動産投資や、太陽光発電投資、一部のソーシャルレンディング(お金を借りたい企業と投資家をマッチングするサービス)などでよく見られます。

広告に掲載されている利回りが、経費を考慮しない「表面利回り」である可能性があります。購入手数料、運営管理費、税金、修繕費など、実際にかかるコストを差し引いた「実質利回り」で計算し直すと、収益性が大幅に低下するケースは少なくありません。必ず、どのような経費がかかるのかを詳細に確認しましょう。

ポイント②:利回りの高さに見合ったリスクを理解しているか?

前述の通り、リスクとリターンは表裏一体です。もし提示されている利回りが、他の一般的な投資商品(例:インデックスファンドの年3〜7%)と比べて著しく高い場合、そこには高いリスクが潜んでいます。

「高利回り」というリターンを得るために、自分がどれだけのリスクを背負うことになるのかを正確に理解し、それが自身の許容範囲内(リスク許容度)かを見極める必要があります。

ポイント③:その利回りは将来も続く保証があるか?

提示されている利回りは、「過去1年間の実績」や「現時点での想定」に過ぎません。その利回りが5年後、10年後も続く保証はどこにもありません。「この利回りがずっと続くはず」という楽観的なシミュレーションを鵜呑みにせず、最悪のケースも想定して、投資判断を行うことが重要です。

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長期的な資産形成の鍵「複利」と利回りの関係

利回りを理解したら、最後に資産形成を加速させる強力なエンジン、「複利」について知っておきましょう。利回りと複利は、長期的な資産形成において切っても切れない関係にあります。

雪だるま式にお金が増える「複利」の魔法

複利とは、投資で得た収益(利息や配当金)を元本に加えて再投資し、その合計額に対してさらに利息がついていく仕組みのことです。簡単に言えば、「利息が利息を生む」状態です。

例えば、100万円を年利5%で運用する場合、1年目の利息5万円を元本に加え、2年目は105万円に対して5%の利息がつく。3年目はさらに増えた元本に利息がつく…30年後の資産:約432万円。

運用期間が長くなるほど、単利と複利の差は雪だるま式に開いていきます。

利回り1%の違いが将来大きな差を生む

この複利効果は、利回りが高ければ高いほど、そして「期間」が長ければ長いほど、爆発的に大きくなります。

元本100万円を30年間、「複利」で運用した場合の利回り別のシミュレーションを見てみましょう。

運用利回り(年率) 30年後の資産額(税引前)
利回り 1% 約 135 万円
利回り 2% 約 181 万円
利回り 3% 約 243 万円
利回り 4% 約 324 万円
利回り 5% 約 432 万円
(※あくまでシミュレーションであり、将来の成果を保証するものではありません)

ご覧の通り、利回りがわずか1%違うだけで、30年後には大きな資産の差が生まれます。

「利回り3%」と「利回り4%」では、30年後に約81万円もの差(324万 - 243万)になります。

無理にハイリスクな高利回りを狙う必要はありません。年3〜5%といった現実的な利回りであっても、複利の力を借りて長期間運用を続けることが、将来の大きな資産につながるのです。

まとめ

今回は、資産運用の基本的なモノサシである「利回りとは何か?」について、その意味から計算方法、種類、投資商品別の目安、そして注意点までを網羅的に解説しました。

わずかな利回りの差でも、「複利」の力で長期間運用すれば、将来大きな差になる。

利回りというモノサシを手に入れたあなたは、これで投資商品が発信する情報を正しく読み解き、比較検討するためのスタートラインに立ちました。

資産運用の目的は、短期的に儲けることではなく、将来にわたって着実に資産を築いていくことです。

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