資産運用とは? 初心者向けに始め方や種類、注意点を徹底解説

「将来のためにお金を増やしたいけど、そもそも『資産運用』とは何なのかわからない」「貯蓄と何が違うの?」「難しそうだし、損をしそうで怖い」…そんな疑問や不安を抱えていませんか?

かつては「お金は銀行に預けておけば安心」という時代もありましたが、低金利が続く現代では、預貯金だけではインフレによってお金の価値が実質的に目減りしてしまう可能性もあります。また、「人生100年時代」といわれる中、老後資金や教育資金など、将来必要なお金を自分で準備する必要性が高まっています。

この記事では、「資産運用とは何か」という基本のキから、具体的な種類、メリット・デメリット、初心者向けの失敗しない始め方、成功のための心構えまで、網羅的に解説します。この記事を読めば、資産運用に対する漠然とした不安が解消され、自分に合った第一歩を踏み出すための具体的な道筋が見えるはずです。

この記事でわかること
  • 資産運用が貯蓄とどう違うのか、なぜ低金利やインフレ時代に必要とされているのかという基本的な理由
  • 投資信託や株式、債券など、代表的な資産運用の種類と、それぞれのリスク・リターンの特徴
  • 具体的な始め方のステップや、「長期・積立・分散」といった成功のための重要な心構え

目次

  1. 資産運用とは? まずは基本の「キ」から理解しよう
  2. 代表的な資産運用の種類と特徴
  3. 失敗しない資産運用の始め方
  4. 資産運用を成功に導くための3つの重要な心構え
  5. 資産運用に関するQ&A
  6. まとめ

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資産運用とは? まずは基本の「キ」から理解しよう

資産運用と聞くと「専門知識が必要」「お金持ちがやること」といったイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはありません。まずは、資産運用の基本的な定義と考え方を理解しましょう。

そもそも資産運用とは?

資産運用とは、自分のお金に「働いてもらい」、将来に向けて効率的に増やしていくことを指します。

例えば、あなたが銀行に預金するのも、銀行にお金を貸して利息というリターンを得る、最も基本的な資産運用の一つです。しかし、現在の日本ではまだまだ低金利な状況が続いているため、預金で得られるリターンはごくわずかです。

そこで、株式や投資信託などの金融商品を活用し、預金金利よりも高いリターンを目指す活動全般が、一般的に資産運用と呼ばれています。その目的は人それぞれで、「老後資金の準備」「子どもの教育資金づくり」「マイホームの購入資金」など、将来の様々なライフイベントに備えるために行われます。

「貯蓄」と「投資」はどう違う?

資産運用を理解する上で、「貯蓄」と「投資」の違いを明確にしておくことが重要です。

・貯蓄
目的: お金を「貯めて、守る」こと。
特徴: 銀行の預貯金(普通預金、定期預金)などが代表例。元本(預けたお金)が保証されているものが多く、安全性が高いのがメリットです。
弱点: 金利が非常に低いため、お金を「増やす」力はほぼありません。また、物価が上がるインフレになると、お金の価値が実質的に下がってしまいます。

投資
目的: お金を「増やして、育てる」こと。
特徴: 株式、投資信託、債券、不動産などが代表例。お金が増える(リターン)可能性がある一方で、元本が減ってしまう(リスク)可能性もあります。
強み: 貯蓄よりも大きなリターンが期待でき、インフレにも対抗できる可能性があります。

資産運用は、投資を中心として、お金を積極的に増やしていく活動を指すことが多いです。貯蓄で「守り」のお金を確保しつつ、将来のために「投資」で「攻め」のお金を育てていく、このバランスが重要になります。

なぜ今、資産運用が必要とされているのか?

「わざわざリスクを取ってまで、なぜ資産運用を?」と思うかもしれません。しかし、現代の日本において資産運用が必要とされるのには、明確な3つの理由があります。

・低金利の継続
現在、大手銀行の普通預金金利は年0.2%〜程度(2025年現在)。これでは、お金を「増やす」ことは期待できません。

・インフレへの備え
近年、食品やエネルギー価格など、身の回りのモノやサービスの値段が上がっていると感じませんか? 銀行に100万円を預けたままでは、お金の額面は変わらなくても、その「価値(購買力)」は実質的に減ってしまうのです。資産運用は、このインフレ率を上回るリターンを目指すための有効な手段となります。

・人生100年時代と老後資金問題
医療の進歩により平均寿命が延び、「人生100年時代」が現実のものとなっています。公的年金だけではゆとりある老後生活を送るのが難しい可能性も指摘されており、長生きに備えて自分自身で資産を準備する必要性が高まっています。

これらの理由から、自分の資産を守り、育てるための「資産運用」が、すべての人にとって重要なスキルとなっているのです。

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代表的な資産運用の種類と特徴

資産運用には様々な金融商品があり、それぞれ特徴が異なります。「どれを選べばいいかわからない」という方のために、まずはリスクとリターンの関係性を理解した上で、代表的な種類を見ていきましょう。

まずはリスクとリターンの関係を知ろう

資産運用を考える上で、「リスク」と「リターン」は表裏一体の関係にあることを必ず覚えておきましょう。

リターン: 運用によって期待できる利益。

リスク: 期待できるリターンの不確実性のこと。一般的には「元本割れ可能性」を指すことが多い。

この関係は、「ハイリスク・ハイリターン」や「ローリスク・ローリターン」となり、「ローリスク・ハイリターン」という夢のような金融商品は存在しません。自分の目的や、どの程度のリスクなら受け入れられるか(リスク許容度)を考え、これらをバランスよく組み合わせていくことが資産運用の基本です。

ローリスク・ローリターンの資産運用

まずは、元本割れのリスクを極力抑えたい、安全性を重視する方向けの資産運用です。

・預貯金
銀行にお金を預ける方法。普通預金より金利が少し高い定期預金もあります。最大のメリットは元本が保証されること(1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息が保護される「ペイオフ」制度)。ただし、リターンは非常に低く、「増やす」目的には向きません。

・国債
日本国政府が発行する債券です。国が破綻しない限り、満期になれば元本と利息が支払われるため、安全性が非常に高いのが特徴です。最低金利保証もあり、銀行の定期預金よりは有利な場合があります。

ミドルリスク・ミドルリターンを狙える資産運用

安全性も確保しつつ、預貯金以上のリターンを目指したい、資産運用の「中心」となりうる商品群です。

・投資信託(ファンド)
多くの投資家から集めた資金をひとまとめにし、運用の専門家が株式や債券など複数の資産に分散して投資・運用する商品です。

メリット: 100円といった少額から購入でき、自動的に分散投資が行われるため、初心者にもおすすめです。NISAやiDeCoといった税制優遇制度の対象商品も豊富です。

デメリット: 元本割れのリスクがあるほか、信託報酬などのコストがかかります。

・債券
社債や外国債券。一般的に、株式に比べて値動きが穏やかで、定期的に利息(クーポン)を受け取れるのが特徴です。ただし、発行元が倒産すると元本が戻らないリスクや、外国債券の場合は為替変動のリスクがあります。

・REIT(リート:不動産投資信託)
投資家から集めた資金で複数の不動産(オフィスビル、商業施設、マンションなど)を購入し、その賃料収入や売却益を投資家に分配する商品。

メリット: 実物の不動産投資には多額の資金が必要ですが、REITなら少額から間接的に不動産オーナーになれ、比較的高い分配金利回りが期待できます。

デメリット: 不動産市況や金利変動の影響を受け、価格や分配金が変動するリスクがあります。

ハイリスク・ハイリターンな資産運用

より大きなリターンを目指す一方、リスクも非常に高くなるため、上級者向け、あるいは資産の一部で行うべき運用方法です。

・株式投資
企業が発行する株式を売買します。

メリット: 株価上昇による売却益(キャピタルゲイン)や、配当金(インカムゲイン)、株主優待など、大きなリターンが期待できます。

デメリット: 企業の業績悪化や市場全体の低迷により、株価が大きく下落し、元本を大きく割り込むリスクがあります。投資先の企業分析なども必要になります。

・FX
日本円と米ドルなど、異なる国の通貨を売買して利益を狙う取引。「レバレッジ」をかけることで、預けた証拠金の何倍もの金額を取引できます。

メリット: 少額資金で大きな利益を狙えます。

デメリット: レバレッジにより、利益だけでなく損失も何倍にも膨らむ可能性があり、短期間で大きな損失を被るリスクがあります。

・暗号資産
ビットコインなどが有名。価格変動が非常に激しく、短期間で資産が何倍にもなる可能性がある一方、暴落して価値がほとんどゼロになるリスクもあります。法整備や税制もまだ整っていない部分が多く、投機的要素が強い商品です。

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失敗しない資産運用の始め方

「種類はわかったけど、何から手をつければ…」という方のために、資産運用を始める具体的なステップを7つに分けて解説します。

ステップ1:資産運用の目的と目標金額を明確にする

まずは「何のために」「いつまでに」「いくら必要か」を明確にしましょう。

「30年後の老後資金として、2,000万円を準備したい」
「15年後に子どもの大学進学費用として、500万円貯めたい」
「10年後にマイホームの頭金として、300万円作りたい」

目的が明確になれば、あと何年運用できるのか(運用期間)、どれくらいのリスクを取れるのか、どの商品を選ぶべきかが決まりやすくなります。

ステップ2:現在の資産状況と毎月の投資額を決める

次に、自分の家計を把握します。収入と支出を洗い出し、毎月いくらなら無理なく投資に回せるかを計算します。 ここで重要なのが、「生活防衛資金」を必ず確保すること。これは、病気や失業など万が一の事態に備えるお金で、一般的に生活費の3ヶ月~1年分程度が目安とされます。資産運用は、この生活防衛資金とは別に、当面使う予定のない余剰資金で行うのが鉄則です。

ステップ3:リスク許容度を把握する

自分がどの程度の価格変動までなら精神的に耐えられるか、という「リスク許容度」を把握します。リスク許容度は、年齢、収入、資産状況、家族構成、性格などによって変わります。元本割れが絶対に嫌ならローリスクな商品を、多少のリスクを取ってでも増やしたいならミドルリスクな商品を選ぶなど、自分の許容度に合わせて配分を考えます。

ステップ4:運用する金融商品を選ぶ

ステップ1〜3で明確になった目的、期間、リスク許容度に合わせて、具体的な金融商品を選びます。初心者であれば、NISAやiDeCoといった制度の活用を検討します。

ステップ5:金融機関で口座を開設する

資産運用を始めるには、証券会社や銀行などで専用の口座を開設する必要があります。特に初心者の方には、以下の理由からネット証券がおすすめです。

・手数料が安い
売買手数料や投資信託の信託報酬が、対面型の金融機関に比べて安い傾向があります。

・商品ラインナップが豊富
投資信託の取り扱い本数などが多く、選択肢が広がります。

・手続きがネットで完結
口座開設から取引まで、スマホやPCで手軽に行えます。 NISA口座なども同時に開設手続きができます。

ステップ6:実際に金融商品を購入する

口座が開設できたら、いよいよ金融商品を購入します。最初から大きな金額を投じる必要はありません。投資信託なら100円から購入できるものも多いため、まずは「お試し」で少額から始めてみましょう。特に初心者の方は、毎月一定額を自動的に買い付ける「積立投資」の設定をすることをおすすめします。

ステップ7:定期的に運用状況を確認し、リバランスを行う

資産運用は「買ったら終わり」ではありません。とはいえ、毎日価格をチェックする必要もありません。半年に一度、あるいは一年に一度など、定期的に運用状況を確認しましょう。

運用を続けると、値上がりした資産の割合が増え、当初決めたポートフォリオ(資産の配分)が崩れてくることがあります。

その場合は、増えた資産を一部売却し、減った資産を買い増すなどして、リバランスを行うと、リスクをコントロールしやすくなります。

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資産運用を成功に導くための3つの重要な心構え

資産運用は、テクニックや知識だけでなく、長期的に続けるための「心構え」が非常に重要です。以下の3つの原則をぜひ覚えておいてください。

① 長期・積立・分散を徹底する

これは資産運用の王道ともいえる3つの原則です。

・長期投資
10年、20年、30年と運用期間を長く取ることで、利息が利息を生む「複利効果」が最大限に発揮されます。また、短期的には価格が上下しても、長期で見れば価格変動のリスクが平準化され、安定したリターンが期待しやすくなります。

・積立投資
毎月1万円など、決まった金額を定期的に買い続ける方法です。価格が高い時は少なく、安い時は多く買うことになるため、平均購入単価を抑える効果(ドルコスト平均法)が期待できます。

・分散投資
投資先を一つに集中させず、様々な資産(株式、債券など)や地域(国内、先進国、新興国など)に分けて投資することです。一つの資産が値下がりしても、他の資産がカバーしてくれることで、全体の損失リスクを抑えることができます。

② 余剰資金で行う

資産運用に使うのは、当面使う予定のない余剰資金だけにしてください。必要な時にお金が減っていて使えない、といった事態になりかねません。精神的な余裕をもって続けるためにも、生活とは切り離したお金で行いましょう。

③ 短期的な値動きに一喜一憂しない

特に「長期投資」を前提とする場合、市場は日々変動するため、一時的に資産が減ることがあります。ニュースなどで「株価暴落」といった情報を見ると不安になり、慌てて売却してしまうのが、初心者に最も多い失敗パターンです。

大切なのは、短期的な値動きに振り回されず、自分が決めた目的を思い出し、冷静に運用を続けることです。積立投資であれば、むしろ「安く買えるチャンス」と捉えるくらいの余裕を持ちましょう。

資産運用に関するQ&A

Q1. どのくらいの金額から始められますか?

A. 100円からでも始められます。

金融機関や商品によりますが、現在、多くのネット証券では投資信託を100円から購入・積立が可能です。株式投資も、通常は100株単位(数十万〜数百万円必要)ですが、「単元未満株(1株)」や「ポイント投資」を利用すれば、数百円〜数千円程度から始められます。 重要なのは金額の多さよりも、まずは少額でも「始めてみて、慣れること」です。

Q2. 損をするのが怖いのですが、元本保証の商品はありますか?

A. 「投資」商品に元本保証はありませんが、リスクを抑える方法はあります。

預貯金や個人向け国債(満期まで保有した場合)を除き、投資信託や株式など、リターンが期待できる「投資」商品に元本保証はありません。 ただし、損をするのが怖い方は、

  • 比較的リスクの低い「債券」の比率が高い投資信託を選ぶ
  • 「長期・積立・分散」を徹底してリスクを平準化する

まずは個人向け国債から始めてみる といった方法で、リスクをコントロールすることが可能です。

Q3. NISAとiDeCoはどちらを優先すべきですか?

A. 目的によって異なります。

NISAとiDeCoは、どちらも資産運用で得られた利益にかかる税金が非課税になる、非常にお得な制度です。老後資金目的なら、節税効果の高いiDeCoを優先。それ以外の目的(教育・住宅など)や、途中で引き出す可能性を残したいならNISAを優先。資金に余裕があれば、両方の制度を併用するのが最も効果的です。

・NISA
特徴:運用益が非課税になる。非課税保有期間は無期限。
メリット:いつでも自由に引き出しが可能。
向いている人:老後資金だけでなく、教育資金、住宅資金など、幅広い目的で運用したい人。

・iDeCo
特徴:運用益非課税に加え、掛金が全額所得控除になり、毎年の所得税・住民税が安くなる。
デメリット:老後資金専用の制度のため、原則60歳まで引き出すことができない。
向いている人:節税メリットを最大限に受けたい人。老後資金を確実に準備したい人。

まとめ

この記事では、「資産運用とは何か」という基本から、種類、始め方、心構えまでを解説してきました。 低金利やインフレ、人生100年時代という現代において、将来の不安に備え、より豊かな生活を送るために、自分のお金に働いてもらう「資産運用」は、もはや特別なことではなく、すべての人にとって必要な知識・スキルとなっています。

資産運用の最大の敵は、「難しそう」「怖い」と何もしないことです。知識をインプットするだけでは、あなたのお金は1円も増えません。

運用期間が長いほど、「複利」や「時間」を味方につけることができます。10年後に「あの時始めておけばよかった」と後悔しないためにも、まずはできる範囲の少額から、第一歩を踏み出してみませんか。

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