資産シミュレーションのやり方|年代別(30代・40代・50代)に1,000万円がいくらになるか試

「将来のために資産運用を始めたいけれど、実際いくら貯まるのかイメージが湧かない」「老後資金はいくら準備すればいいのか…」そんな悩みを抱えていませんか?

将来の資産形成において、やみくもに行動するのは不安が伴います。そこで重要になるのが「資産シミュレーション」です。

資産シミュレーションを行うことで、あなたの目標金額に対して「毎月いくら積み立てれば良いのか」「どのくらいの利回りで運用する必要があるのか」を具体的に可視化できます。

この記事では、資産シミュレーションで何がわかるのか、金融庁などの便利な無料ツールの使い方、そして30代、40代、50代の年代別・目的別の具体的なシミュレーション実例を詳しく解説します。

この記事でわかること
  • 将来の資産を可視化する「資産シミュレーション」の基本(積立額・利回り・期間の3要素)
  • 金融機関やねんきんネットなど、無料で使えるシミュレーションツール
  • 3つの注意点と、NISAなどを活用した実行プラン

目次

  1. 資産シミュレーションで何がわかる?
  2. 無料の運用シミュレーションを活用しよう
  3. シミュレーション結果を活かすための注意点
  4. シミュレーションの次へ!目標達成に向けた具体的なアクションプラン
  5. まとめ

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資産シミュレーションで何がわかる?

資産シミュレーションは、将来の資産額を予測するための計算ツールです。漠然とした不安を具体的な数字に落とし込むことで、現実的な資産形成プランを立てる手助けとなります。このシミュレーションを正しく行うために、鍵となる3つの要素「毎月の積立金額」「想定利回り」「運用期間」について理解を深めましょう。

毎月の積立金額

シミュレーションの土台となるのが、「毎月いくら投資に回せるか」という積立金額です。ここで重要なのは、無理なく長期間続けられる金額を設定することです。

資産運用は、短期間で結果を求めるものではなく、長期的に継続することが成功の鍵となります。例えば、生活費を切り詰めて月10万円を積み立てても、数ヶ月で息切れしてしまっては意味がありません。

まずは現在の家計を見直し、「先取り貯蓄(投資)」として、収入があった時点で先に一定額を投資に回し、残ったお金で生活する習慣をつけましょう。月1万円からでも構いません。シミュレーションを試しながら、ご自身のライフプランに合った積立金額を見つけることが、資産形成の第一歩となります。

想定利回り(年率)

利回りは、投資した元本に対して1年間でどれくらいの利益(リターン)が得られるかを示す割合です。シミュレーションの精度を上げるには、この利回りを現実的な数値で設定する必要があります。

「年利10%」「年利20%」といった高い利回りを設定すれば、シミュレーション結果は華やかなものになりますが、その分高いリスク(価格変動の大きさや元本割れの可能性)を伴います。

資産シミュレーションでよく用いられる現実的な利回りの目安は、年3%〜5%程度です。これは、全世界の株式や債券に分散投資するインデックスファンド(市場の平均値に連動する投資信託)の過去の平均的なリターンに基づいています。まずはこの範囲で試算し、ご自身のリスク許容度に合わせて調整することをおすすめします。

運用期間

資産運用において最も強力な武器の一つが「時間」です。運用期間が長ければ長いほど、複利効果が働き、資産は雪だるま式に増えていきます。複利とは、運用で得た利益を元本に再投資し、その合計額に対してさらに利益が生まれる仕組みです。

例えば、毎月3万円を積み立てる場合を見てみましょう。(税金等は考慮せず)

  • 年利3%で10年間運用した場合:元本360万円に対し、総額は約419.2万円(利益約59万円)
  • 年利3%で30年間運用した場合:元本1,080万円に対し、総額は約1,748.2万円(利益約668万円)

運用期間が3倍になると、利益は10倍以上に膨れ上がります。資産シミュレーションを行うことで、この「時間を味方につける」ことの重要性を視覚的に理解できるのです。

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無料の運用シミュレーションを活用しよう

資産運用シミュレーションは、専門家でなくても簡単に行うことができます。特に信頼性が高く、無料で使えるツールを活用しない手はありません。ここでは「増やす資産」と「受け取る資産」の2つの側面から、必須のシミュレーションツールをご紹介します。

資産運用シミュレーションで増やす資産を可視化する

これから資産運用を始める方、または現在の積立プランを見直したい方に最適なのが、銀行や証券会社などの金融機関が提供する資産運用シミュレーションです。これは、先ほど解説した「毎月の積立金額」「想定利回り」「運用期間」などの条件を入力するだけで、将来の資産額がグラフで簡単に試算できるツールです。

まずはこのツールで、ご自身の目標達成に必要なプランを具体的に描いてみましょう。ただし、あくまで試算であり、将来の成果を保証するものではない点には留意が必要です。

日本年金機構「ねんきんネット」で資産の土台を確認する

資産運用の計画を立てる前に、必ず確認すべきことがあります。それは、将来公的年金をいくら受け取れるかです。この土台となる金額を把握して初めて、「老後に向けて、あといくら自分で準備すべきか」という不足額が明確になります。

日本年金機構が提供する「ねんきんネット」では、これまでの年金加入記録や、将来受け取れる年金の見込額を簡単にシミュレーションできます。

例えば、「老後資金2,000万円」が本当に必要なのか、それとも1,000万円で足りるのか、あるいは3,000万円必要なのかは、この公的年金の受給額によって大きく変わります。「増やす」シミュレーションと「受け取る」シミュレーション、この2つを併用することで、より精度の高い資産計画を立てることが可能になります。

シミュレーション結果を活かすための注意点

資産シミュレーションは強力なツールですが、その結果を鵜呑みにするのは危険です。算出された数字はあくまで「仮定」に基づいています。シミュレーション結果を現実の資産運用に活かすために、知っておくべき3つの注意点を解説します。

注意点1:税金(約20%)が考慮されていない

多くの簡易シミュレーションでは、運用益にかかる税金が考慮されていません。

通常、株式や投資信託の売却益や分配金・配当金には、約20%の税金がかかります。例えば、シミュレーションで100万円の利益が出ても、実際に受け取れるのは約80万円になるということです。

この税金のインパクトを回避するために有効なのが「NISA(ニーサ)」や「iDeCo(イデコ)」といった非課税制度です。これらの制度を活用することを前提に、資産計画を立てることが非常に重要です。

注意点2:市場は常に変動リスクがある

シミュレーションでは「年利3%」など一定の利回りを仮定しますが、実際の市場は常に変動しています。良い年もあれば、悪い年もあります。シミュレーション上では資産が右肩上がりに増えていきますが、実際には一時的に元本割れするリスクも必ず伴います。

このリスクを完全に避けることはできませんが、軽減する方法はあります。それが「長期・積立・分散」投資です。

長期: 短期的な値動きに一喜一憂せず、長く持ち続ける(複利効果も高まる)。

積立: 投資するタイミングを分散し、高値掴みのリスクを避ける(ドル・コスト平均法)。

分散: 一つの資産(例:特定の国の株式)に集中せず、地域や資産(株式、債券など)を分ける。

シミュレーションは順調な未来を描きがちですが、実際はその通りにならないリスクも織り込んでおく必要があります。

注意点3:インフレで「お金の価値」が目減りする可能性

シミュレーションで30年後に2,000万円を達成しても、安心はできません。もし「インフレ(インフレーション)」が進行していた場合、その2,000万円の価値が現在よりも目減りしている可能性があるからです。

インフレとは、モノやサービスの価格が上がり、相対的に「お金の価値」が下がることです。例えば、現在100円で買えるジュースが、年2%のインフレが30年続くと約181円になります。

もし運用利回りがインフレ率に負けていると、資産額は増えていても、実質的に(買えるモノの量で)は損をしていることになります。資産シミュレーションで設定する「想定利回り」は、このインフレ率(例:年1〜2%)を上回るリターンを目指すことが、真の意味での資産形成につながります。

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シミュレーションの次へ!目標達成に向けた具体的なアクションプラン

資産の目標が明確になったら、次は「実行」に移す番です。シミュレーションはあくまで計画。行動しなければ資産は1円も増えません。ここでは、シミュレーション結果を実現するための具体的なアクションプランを3つご紹介します。

①【コツコツ堅実に】NISAやiDeCoでインデックス投資

シミュレーションで算出した「毎月の積立金額」を実行する最も王道かつ効果的な方法が、NISAやiDeCoを活用したインデックス投資です。

NISA:2024年から制度が大幅に拡充され、非課税保有期間が「無期限化」されました。売却益や分配金が非課税になるため、シミュレーション結果(税引き前)に近いリターンをそのまま享受できます。

iDeCo:積立時、運用時、受取時のすべてで税制優遇が受けられる強力な制度。特に「掛金全額が所得控除」になるため、現役世代の節税効果が非常に高いのが特徴です。

これらの制度を使い、全世界株式や米国株式などのインデックスファンドをコツコツ積み立てることが、30代や40代の資産形成の基軸となります。

②【少額から不動産のオーナーに】不動産小口化商品で賢く分散

インデックス投資(株式)だけでなく、他の資産にも分散投資をしたいと考えるなら、「不動産小口化商品(REITなど)」も有効な選択肢です。

通常、現物の不動産投資には多額の自己資金が必要ですが、不動産小口化商品は、多くの投資家から資金を集めて不動産を購入・運用し、その収益(家賃収入や売却益)を分配する仕組みです。

数万円〜数十万円といった少額から、都心のビルや商業施設などの優良物件のオーナー(の一人)になることができます。株式市場とは異なる値動きをすることが多いため、資産全体のリスク分散に役立ちます。また、比較的安定した分配金(インカムゲイン)が期待できるのも魅力です。

③【長期で安定収入を】現物不動産投資で資産を築く

50代の退職金シミュレーションのように、まとまった自己資金がある場合や、ミドルリスク・ミドルリターンをより本格的に目指すなら「現物不動産投資」も視野に入ります。

マンションやアパートの一室を購入し、賃貸に出すことで、長期的に安定した家賃収入(インカムゲイン)を得ることを目的とします。インフレ対策としても有効で、モノ(不動産)の価値が上昇すれば、家賃も上昇する可能性があるため、お金の価値が目減りするリスクをヘッジできます。

もちろん、空室リスクや修繕コスト、流動性(すぐに現金化しにくい)といった特有のリスクもあるため、専門的な知識が必要ですが、シミュレーションの次のステップとして、有力な資産運用の柱となり得ます。

まとめ

本記事では、将来の資産形成の「地図」となる資産運用シミュレーションについて解説しました。しかし、シミュレーションは「計画」に過ぎません。税金や市場リスク、インフレといった注意点を理解した上で、実際に行動に移すことが何よりも重要です。

まずは「第一歩」として、資産運用シミュレーションを実際に操作してみることから始めてみましょう。そして、そのシミュレーション結果を現実にするために、まずは口座の開設など、小さな行動を起こしてみてください。その一歩が、あなたの未来を大きく変えるきっかけとなるはずです。

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